第84章 誕生日に会う

無人島の撮影が終わった日、灰原仁司は「杉浦家が人を寄越した」なんて話を持ち出さなかった。杉浦杏奈も、聞かなかった。

二人とも分かっていたのだ。ドローンが捉えた映像だけで、十分すぎるほどだと。

灰原グループに戻ると、永井明が写真の束を抱えて灰原仁司の執務室へ入ってきた。

「灰原社長、広報部からです。宣材、どれを使うか選んでほしいと」

灰原仁司が手を伸ばすより先に、杉浦杏奈が身を乗り出した。

デスクに頬杖をつき、写真を一枚ずつめくっていく。九枚目で、指が止まった。

ビキニの全身ショット。海辺に立つ彼女へ陽光が降り注ぎ、白い肌が発光するみたいに眩しい。

鎖骨の少し上に、薄い痕。灰原仁...

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